2024-01-01から1年間の記事一覧

カラオケ行こ!

先日、友人と会った際、彼女が読んでいる心理学関連の雑誌に映画『カラオケ行こ!』がお勧めされていたと教えてくれたので、見たいなと思っていました。 Netflixに上がったので早速見てみたら、、すごく良かった。 これは、男同士の純愛?? (夏目漱石「こ…

吉野源三郎『君たちはどう生きるか』と宮崎駿『君たちはどう生きるか』を繋ぐもの

吉野源三郎『君たちはどう生きるか』は、引越しをした2015年、息子が中学2年生だった時に読んだ。9年前になる。 www.iwanami.co.jp このところ宮崎駿『君たちはどう生きるか』の、折口信夫『死者の書』や『古事記』との関連を考えてみたりもしたので、ふと…

過去への手紙(さくらさひめの大しごと→くらしのアナキズム)

久しぶりにブログに戻ったので、12年前の自分に、返事を書いています。もう全く別の人に感じられて新鮮。 okanagon.hatenablog.com あれから、この絵本「さくらさひめの大しごと」をこちらに引っ越してきても探してみました。しかし図書館にもなく、手にも…

折口信夫『死者の書』と宮崎駿『君たちはどう生きるか』

『死者との対話』というテーマは、宮崎駿『君たちはどう生きるか』もそうだ。 去年7月に観た際には、伝統的な「行きて帰りし物語」のストーリー展開にのっとった作品だと感じた。今、折口信夫『死者の書』やダンテ『神曲』と、同じ構造も持っていると、あら…

アドラー他『本を読む本』

ここまで『死者の書』でやってきたのは、実は J・モーティマー・アドラー (著), V・チャールズ・ドーレン (著), & 2 その他 『本を読む本』(講談社学術文庫) を参考にした実践のつもりでした。 (うまくはできてないけれど) 以下のシントピカル読書まで、…

折口信夫『死者の書』とダンテ『神曲』

読後の余韻に浸っていましたが、ここまで読んできた『死者の書』と、去年読んだダンテ『神曲』とを、重ねて、つらつら思ったことを書いてみようと思います。 ーーーーーーーー 折口の『死者の書』には、飛鳥時代の国家体制や習俗、それによる人々の物の考え…

折口信夫『死者の書』(十九、二十)

物語は終章に向かって一気に駆け昇り、壮麗な幻が眼の前に広がって、すっと消えました。 圧巻のラストでした。可哀想で、言う言葉が、今は見つかりません。 連想したのは、ガルシア・マルケス『百年の孤独』に出てくる、汚れなきレメディオスの話。最後に置…

折口信夫『死者の書』(十八)

ベンゼン環を発見したベンゼンのように、何か解けない問題を抱えて昼も夜も考えていると、夢が解決の糸口を示してくれることがある。この十八)も、そんな夢による解決が出てきます。 一)の御霊の おお寒い。おれを、どうしろと仰るのだ。尊いおっかさま。…

折口信夫『死者の書』(十七)

瞬く間に、問題の「秋分の日」です。 十五)で御霊と阿弥陀仏はそれぞれ音と光に分けられるのかしら、と思っていたら、御霊も光?わけがわからなくなってきました。もう混沌です。合体しちゃったのかな。 「折口先生、乙女心を持ってる!」 とすごく思ったの…

折口信夫『死者の書』(十六)

この十六)は、若人のはつらつとした働きぶりが、楽しい章でした。 当時の女性の暮らしの、民俗学的な記述のように思えるものも織り込んであって、面白いです。(ただこれは、物語の肉付けなので、以下では割愛) 十一)で、蓮の茎からとる繊維のことを、郎…

折口信夫『死者の書』(十五)

物語は、時の進み方が加速していきます。 あっという間に春分の日から1月経ち、躑躅(つつじ)の季節。 私が散歩するこの辺でも、昨日の暖かさにミツバツツジが咲き始めていました。やがて山道が躑躅の花のトンネルのようになるのも近い。 さて、夜あらわれ…

折口信夫『死者の書』(十四)

西方浄土と言いますが、物語に出てくる地を、西から順に書き出してみると 天竺(インド)←漢土(中国)←太宰府←難波←二上山、当麻←奈良 矢印は、郎女の指向を表しています。 郎女はちょうど真西に沈む、春分の日と秋分の日の太陽に、俤(おもかげ)びとを見…

折口信夫『死者の書』(十三)

春分から2日目の夜更け、十三)はいよいよ 物語のクライマックスとなります。(本文は全て青空文庫より) 十三)夜更け 明るい灯火のともる庵には、帳台がしつらえられ、その周りで乳母や若人がすやすやと寝息を立てている。灯火が月のように円い光の暈つく…

折口信夫『死者の書』(十〜十ニ)

十)では、郎女がどんな風に育ったのかかが語られて、 十一)、十二)は春分から2日目の庵、となります。 十)の「人と鬼との間に交わされた誓い」という箇所で、 ふと漫画「イティハーサ」を連想しました。 昔好きで読んでいたなぁ。。 イティハーサ(1) |…

折口信夫『死者の書』(九)

八)で初めて登場する大伴家持は、万葉歌人の中で超がつく有名人。 家持によって、物語の時が意識され、舞台に着地点ができている。 彼が、「自分も横佩の右大臣のように、どこか僻地へ飛ばされるかもしれない」と、強迫観念に取り憑かれているのは、小説執…

折口信夫『死者の書』(五〜八)

不思議な過去との因縁(下図)が老婆によって語られ 神代 =50年前=物語の現在 天若日子=滋賀津彦=御霊 (?)=耳面刀耳(藤原家一の媛)=藤原南家郎女 場面は再び、滋賀津彦の墓所の中へと移る。 五)丑刻(午前2時)から卯刻(晨朝:午前6時) 岩…

折口信夫『死者の書』(一〜四)

一) 御霊の目覚め 暗闇の中で死者(大津皇子(滋賀津彦):天武天皇の第3皇子)の御霊が目覚め、耳面刀自を想う。御霊は、自分が一体誰でどこにいるかわからない。やがて、伊勢の斎宮である姉(大来皇女:おおくのひめみこ)が(死んだ)自分を呼び活けに…

折口信夫『死者の書』(零)

去年は、おおえまさのり編訳『チベット 死者の書』 僧が死者の枕元で読み上げ、死者の意識に向かって今起きていることを説明し、よりよい転生へ導くための書 を古本市で買ったり、 ダンテの『神曲』 ダンテが生きながら死んだ人たち(歴史上の人物から知り合…

折口信夫『神の嫁』

折口信夫 『神の嫁』を読了。 この物語は、横佩大納言(藤原豊成)の姉姫行方不明事件から、着想を得て書かれたようです。内容を、ざっくりとまとめてみました。(斜め読み、ご容赦ください)―失踪事件当日― 横佩大納言の家の女たちが、高円山から東大寺南大…