2024-03-29から1日間の記事一覧

折口信夫『死者の書』(九)

八)で初めて登場する大伴家持は、万葉歌人の中で超がつく有名人。 家持によって、物語の時が意識され、舞台に着地点ができている。 彼が、「自分も横佩の右大臣のように、どこか僻地へ飛ばされるかもしれない」と、強迫観念に取り憑かれているのは、小説執…

折口信夫『死者の書』(五〜八)

不思議な過去との因縁(下図)が老婆によって語られ 神代 =50年前=物語の現在 天若日子=滋賀津彦=御霊 (?)=耳面刀耳(藤原家一の媛)=藤原南家郎女 場面は再び、滋賀津彦の墓所の中へと移る。 五)丑刻(午前2時)から卯刻(晨朝:午前6時) 岩…

折口信夫『死者の書』(一〜四)

一) 御霊の目覚め 暗闇の中で死者(大津皇子(滋賀津彦):天武天皇の第3皇子)の御霊が目覚め、耳面刀自を想う。御霊は、自分が一体誰でどこにいるかわからない。やがて、伊勢の斎宮である姉(大来皇女:おおくのひめみこ)が(死んだ)自分を呼び活けに…

折口信夫『死者の書』(零)

去年は、おおえまさのり編訳『チベット 死者の書』 僧が死者の枕元で読み上げ、死者の意識に向かって今起きていることを説明し、よりよい転生へ導くための書 を古本市で買ったり、 ダンテの『神曲』 ダンテが生きながら死んだ人たち(歴史上の人物から知り合…

折口信夫『神の嫁』

折口信夫 『神の嫁』を読了。 この物語は、横佩大納言(藤原豊成)の姉姫行方不明事件から、着想を得て書かれたようです。内容を、ざっくりとまとめてみました。(斜め読み、ご容赦ください)―失踪事件当日― 横佩大納言の家の女たちが、高円山から東大寺南大…