カラオケ行こ!

先日、友人と会った際、彼女が読んでいる心理学関連の雑誌に映画『カラオケ行こ!』がお勧めされていたと教えてくれたので、見たいなと思っていました。 Netflixに上がったので早速見てみたら、、すごく良かった。 これは、男同士の純愛?? (夏目漱石「こ…

吉野源三郎『君たちはどう生きるか』と宮崎駿『君たちはどう生きるか』を繋ぐもの

吉野源三郎『君たちはどう生きるか』は、引越しをした2015年、息子が中学2年生だった時に読んだ。9年前になる。 www.iwanami.co.jp このところ宮崎駿『君たちはどう生きるか』の、折口信夫『死者の書』や『古事記』との関連を考えてみたりもしたので、ふと…

過去への手紙(さくらさひめの大しごと→くらしのアナキズム)

久しぶりにブログに戻ったので、12年前の自分に、返事を書いています。もう全く別の人に感じられて新鮮。 okanagon.hatenablog.com あれから、この絵本「さくらさひめの大しごと」をこちらに引っ越してきても探してみました。しかし図書館にもなく、手にも…

折口信夫『死者の書』と宮崎駿『君たちはどう生きるか』

『死者との対話』というテーマは、宮崎駿『君たちはどう生きるか』もそうだ。 去年7月に観た際には、伝統的な「行きて帰りし物語」のストーリー展開にのっとった作品だと感じた。今、折口信夫『死者の書』やダンテ『神曲』と、同じ構造も持っていると、あら…

アドラー他『本を読む本』

ここまで『死者の書』でやってきたのは、実は J・モーティマー・アドラー (著), V・チャールズ・ドーレン (著), & 2 その他 『本を読む本』(講談社学術文庫) を参考にした実践のつもりでした。 (うまくはできてないけれど) 以下のシントピカル読書まで、…

折口信夫『死者の書』とダンテ『神曲』

読後の余韻に浸っていましたが、ここまで読んできた『死者の書』と、去年読んだダンテ『神曲』とを、重ねて、つらつら思ったことを書いてみようと思います。 ーーーーーーーー 折口の『死者の書』には、飛鳥時代の国家体制や習俗、それによる人々の物の考え…

折口信夫『死者の書』(十九、二十)

物語は終章に向かって一気に駆け昇り、壮麗な幻が眼の前に広がって、すっと消えました。 圧巻のラストでした。可哀想で、言う言葉が、今は見つかりません。 連想したのは、ガルシア・マルケス『百年の孤独』に出てくる、汚れなきレメディオスの話。最後に置…

折口信夫『死者の書』(十八)

ベンゼン環を発見したベンゼンのように、何か解けない問題を抱えて昼も夜も考えていると、夢が解決の糸口を示してくれることがある。この十八)も、そんな夢による解決が出てきます。 一)の御霊の おお寒い。おれを、どうしろと仰るのだ。尊いおっかさま。…

折口信夫『死者の書』(十七)

瞬く間に、問題の「秋分の日」です。 十五)で御霊と阿弥陀仏はそれぞれ音と光に分けられるのかしら、と思っていたら、御霊も光?わけがわからなくなってきました。もう混沌です。合体しちゃったのかな。 「折口先生、乙女心を持ってる!」 とすごく思ったの…

折口信夫『死者の書』(十六)

この十六)は、若人のはつらつとした働きぶりが、楽しい章でした。 当時の女性の暮らしの、民俗学的な記述のように思えるものも織り込んであって、面白いです。(ただこれは、物語の肉付けなので、以下では割愛) 十一)で、蓮の茎からとる繊維のことを、郎…

折口信夫『死者の書』(十五)

物語は、時の進み方が加速していきます。 あっという間に春分の日から1月経ち、躑躅(つつじ)の季節。 私が散歩するこの辺でも、昨日の暖かさにミツバツツジが咲き始めていました。やがて山道が躑躅の花のトンネルのようになるのも近い。 さて、夜あらわれ…

折口信夫『死者の書』(十四)

西方浄土と言いますが、物語に出てくる地を、西から順に書き出してみると 天竺(インド)←漢土(中国)←太宰府←難波←二上山、当麻←奈良 矢印は、郎女の指向を表しています。 郎女はちょうど真西に沈む、春分の日と秋分の日の太陽に、俤(おもかげ)びとを見…

折口信夫『死者の書』(十三)

春分から2日目の夜更け、十三)はいよいよ 物語のクライマックスとなります。(本文は全て青空文庫より) 十三)夜更け 明るい灯火のともる庵には、帳台がしつらえられ、その周りで乳母や若人がすやすやと寝息を立てている。灯火が月のように円い光の暈つく…

折口信夫『死者の書』(十〜十ニ)

十)では、郎女がどんな風に育ったのかかが語られて、 十一)、十二)は春分から2日目の庵、となります。 十)の「人と鬼との間に交わされた誓い」という箇所で、 ふと漫画「イティハーサ」を連想しました。 昔好きで読んでいたなぁ。。 イティハーサ(1) |…

折口信夫『死者の書』(九)

八)で初めて登場する大伴家持は、万葉歌人の中で超がつく有名人。 家持によって、物語の時が意識され、舞台に着地点ができている。 彼が、「自分も横佩の右大臣のように、どこか僻地へ飛ばされるかもしれない」と、強迫観念に取り憑かれているのは、小説執…

折口信夫『死者の書』(五〜八)

不思議な過去との因縁(下図)が老婆によって語られ 神代 =50年前=物語の現在 天若日子=滋賀津彦=御霊 (?)=耳面刀耳(藤原家一の媛)=藤原南家郎女 場面は再び、滋賀津彦の墓所の中へと移る。 五)丑刻(午前2時)から卯刻(晨朝:午前6時) 岩…

折口信夫『死者の書』(一〜四)

一) 御霊の目覚め 暗闇の中で死者(大津皇子(滋賀津彦):天武天皇の第3皇子)の御霊が目覚め、耳面刀自を想う。御霊は、自分が一体誰でどこにいるかわからない。やがて、伊勢の斎宮である姉(大来皇女:おおくのひめみこ)が(死んだ)自分を呼び活けに…

折口信夫『死者の書』(零)

去年は、おおえまさのり編訳『チベット 死者の書』 僧が死者の枕元で読み上げ、死者の意識に向かって今起きていることを説明し、よりよい転生へ導くための書 を古本市で買ったり、 ダンテの『神曲』 ダンテが生きながら死んだ人たち(歴史上の人物から知り合…

折口信夫『神の嫁』

折口信夫 『神の嫁』を読了。 この物語は、横佩大納言(藤原豊成)の姉姫行方不明事件から、着想を得て書かれたようです。内容を、ざっくりとまとめてみました。(斜め読み、ご容赦ください)―失踪事件当日― 横佩大納言の家の女たちが、高円山から東大寺南大…

土を喰う日々ー6月の章ー

梅干しは、何と手間暇かけた食べ物なのだろう。 「梅干し」と聞いただけで唾が溜まるのは、私にも味覚の記憶が根付いているから。 水上勉著 エッセイ『土を喰らう日々』も梅雨に入る。 手作り梅には、手をつくすだけの自分の歴史が、そこにまぶれついている…

土を喰う日々ー5月の章ー

湯気の出るタケノコの大皿がトンと置かれる。 唾がジワッと湧いてくるシーンの一つだ。 勉はマチコに「はい」、と大きな輪切りをたっぷり小皿にとり分ける。 待ちきれないように、ハフハフかぶりつくマチコの喰いっぷりもいい。 感動した。日本ではまだまだ…

土を喰う日々ー4月の章ー

四月の章は、映画に出てくるところが沢山あった。 (1回観ただけなので、確かではない) 四月の章 *土の声がする祭典 あけびのつる、たらの芽、わらび、こごめ、水芹、よもぎ、アカシアの花、みょうがだけ、里芋のくき、山うど、あけびのつる 収穫したもの…

土を喰う日々ー3月の章ー

ひき続き、エッセイ『土を喰う日々』から心に留まった箇所を。 この三月の章は、映画にあまりなかった気がするけれど、背後を知るのに大切なことが書いてあった。 三月の章 畑はまだ凍っている。何もない時期。 客は千様だ。しかし、だいたいの事情はおしは…

土を喰う日々ー1月の章、2月の章ー

映画『土を喰らう十二カ月』を見てから、原作のエッセイ(水上勉著「土を喰う日々」)を手にとった。パラパラ見ると、水上さんが料理をしている写真もある。挿絵は水上さんが描かれたそうだ。「1月の章」から始まり「12月の章」まで。新年に読むのによい。 …

土を喰らう十二カ月

寝正月を決め込んでいる息子に 「ジュリーが出てる映画行こ」 と声をかけ、半ば騙すようにして『土を喰らう十二カ月』を観に行った。息子は中学の頃、youtubeで往年のジュリーを知って「ジュリーかっこええな〜!」と言っていた。 映画の原作者である水上勉…

お正月映画?

我が家は、週末映画を見たりすることがよくあります。個人的に今年見て面白かった映画を書きとめておこう。。俳優さんそれぞれの芸を堪能し楽しめたのは。。三谷幸喜監督の。。『ステキな金縛り』 この映画に出てくる、古い映画。。これも見たくなります。。…

瞑想

気になっている記事。瞑想により人の遺伝子発現が変化したという研究。 Meditation changes gene expression, study shows

かぐや姫の物語

一人で映画「かぐや姫の物語」を見てきた。奧にしまいこんでいたものを強く揺さぶられたのか、その夜映像が蘇ってきてカタカタと泣いた。おまけにすっかり体調を崩して風邪までひいた。この作品は「風立ちぬ」と見事に対をなしている。 男女という互いに遠く…

ラマチャンドラン

この動画を見てはじめて、茂木健一郎氏がよく言っているクオリアというものが何なのかわかった気がした。この話の中でラマチャンドラン氏が色盲の例をあげているように、インターネットの世界でもまた、そこで得る知識というものはこのクオリアを欠いたもの…

スガタ•ミトラ

スガタ•ミトラ「自己学習にまつわる新しい試み」という講演をYoutubeで見た。 http://www.youtube.com/watch?v=5iLPOQ8lXsA 彼は、インドのスラム街をはじめ、世界のどの国にもある、優秀な教師が行きたがらない地域に、インターネットにつながったPCを持ち…