ギルガメシュ王のたたかい

ギルガメシュ王のたたかい ルミドラ•ゼーマン 松野正子訳 岩波書店

図書館で先日借りてきた中で、息子が気に入って何度も読んでほしがった絵本です。ギルガメシュ王は、はじめは冷たく残酷だったのですが、歌姫シャマトが連れてきた森の人エンキドゥと友達になってから、おもいやりのあるやさしい王となりました。シャマトが怪物フンババの起こした地震により死ぬと、ギルガメシュ王はフンババを退治に出ると決意します。以下本文より。

「きみがいやなら、我1人で行く。我は、死もおそれぬ。」
「わたしは、おそれる。」
とエンキドゥは答えました。けれども、そう言ってから、エンキドゥは、うつくしいシャマトをみました。そして、おそれにうちかって、いいました。
「行こう。わたしも、いっしょに行くぞ。」

この短い会話にも、神に近く人の心から遠いギルガメシュ王と、自らの弱さを知りつつそれに打ち克つ強さをそなえるエンキドゥとの対比が現れています。作者ゼーマンが、子どもの頃からこの物語に親しんで愛していたことが、あとがきにありました。主人公を支える脇役のほうに、とても魅力があることが多いのは何故なのでしょう?指輪物語のフロドの友人サムや、三国志関羽張飛孔明。。きっと数限りなくこういう例はあるんでしょうね。

ギルガメシュ叙事詩は今から5000年以上前、メソポタミアの古代に粘土板に記された物語。。楔型文字でこのような物語が刻まれていたなんて、はるか遠くへ気持ちが飛んでいくようです。

さて、息子には大変大好きな友達というのがいます。同じ歳で、保育園から一緒で、よく保育園の先生に「いつも一緒なんですよ。」と聞いていました。喧嘩しようと、お互い意地悪しようと、とにかく好きみたいで「○くんの友達は、いいなぁと思うんですよ」と先生が話してくださったのを思い出しました。