かえるのごほうび

かえるのごほうび 木島 始 さく・梶山俊夫 レイアウト

先々週図書館で借りてきました。木島 始のあとがきより。
この絵本は、今からおよそ800年か900年まえに造られた鳥獣戯画絵巻を、組み立て直したものです。淀みなく流れて切れ目がない元の絵巻には、まったく詞書がつけられていず、長いあいだ、何の物語なのだろうと謎のままでした。(中略)きっとこの元の絵巻をしまいこんでいた高山寺の近くでは、生きものたちが、ひとびとのすぐそばまできて、人間そっくりの顔つきで、動きまわっていたにちがいありません。それにしても何と長いあいだ、高山寺は、この世界美術のなかでも比べられるものがない傑作を、しっかり持ちこたえつづけたことでしょう。これほど古い、これほどすばらしい絵を、子どもたちが、いつでもしげしげと見られるところに置けないものか、ー

という絵本ですが、まったく私も、小学生の頃にやはり日曜美術館で、手塚治虫がこの絵巻を紹介していたのを見てとりこになったのでした。何と言っても、今にも動き出しそうな絵が魅力です。動物の特徴が見事にとらえられつつ、巧みに擬人化されていて見ていて楽しい。早速まねして、うさぎや猿の絵を描こうとした自分を思いだします。やはりそれと同じ頃にマーラーの音楽をバックにこの鳥獣戯画が動くようにアニメーションで構成されたサントリーウィスキーのCMがありましたが、これも大好きでした。

高山寺と言えば、「あるべきやうわ」の明恵上人が開いたお寺です。上人は島へ手紙を書いたりもする面白いお人ですから、自然へわけへだてのないいつくしみの心をもった上人の精神が、この絵巻を大切に守ったのでしょうね。。