点子ちゃんとアントン

ミヒャエル•エンデは「モモ」「はてしない物語」などで小学生の頃に親しんだ作家でしたが、エンデの前の世代(第一次世界大戦第二次世界大戦をまたぐ)のドイツの有名なエーリッヒ•ケストナー(1899-1974)はまだ読んだ事がありませんでした。点子ちゃんは、お父さんが支配人で大金持ちだけれど両親にほったらかされている女の子、アントンはお母さんが病気で寝ついていて昼も夜も働いている貧しい少年です。この2人が友達になって、くり広げるドキドキするような痛快でおもしろいお話の底には、儼然と社会の格差や貧困の問題が横たわっています。そこに次へ続くエンデへのつながりも感じました。

点子ちゃんとアントン (岩波少年文庫)

点子ちゃんとアントン (岩波少年文庫)

ケストナーは必ず各章の終わりに、反省を述べるのですが、第6章の「貧乏について述べます。」ではこんなことを言っています。

貧乏はどんなにつらいものかということを、金持ちの人たちが子どものときから知っていたら、貧乏をなくすことがたやすくできると、みなさんは思いませんか。

ケストナーは、このお話の終わり方に見られるように、お金持ちが正しい考えを持ち行動することが皆の幸福につながると考えて、次の世代のこどもたちをそのように教育しようと考えていたと感じます。ケストナーが亡くなって38年が経っていますが、世の中はケストナーが願ったようには進んできていないですね。。