読み聞かせ学習会で平塚ミヨさんに、おはなしの魅力をうかがいました。メルヘンクーゲルの音にいざなわれて語っていただいたおはなしは、
鳥呑爺 日本昔話百選「三省堂」
こぶじいさま 日本の昔話「福音館書店」
いぬとにわとり 石井桃子作「福音館書店」
ミアッカどん イギリスとアイルランドの昔話「福音館書店」
ぼうし おてがみ アーノルド•ローベル作「ふたりはきょうも」
「ふたりはともだち」文化出版局
ねすみの小判干し 日本の昔話「おはなしのろうそく26」東京子ども図書館
ジムの誕生日 ファージョン作「町かどのジム」童話屋出版局
震災後の停電の夜、まっくらな中で、ミヨさんは82歳のご主人にいろいろなお話をしたのだそうです。翌朝、「昨晩はたのしかったなぁ〜。」と言ってご主人は起きてこられ、ミヨさんが「どの話がよかった?」と聞くと一番おもしろかったのは「鳥呑爺」の話だったとか。こどもに戻られたようなご主人の姿を思い浮かべました。年老いてこういう夜を過ごせるような夫婦は理想ですね。ミヨさんのやさしい声で、アーノルド•ローベルの「ぼうし」に耳を傾けると、カエルくんとガマくんのほのぼのとしたやりとりがじんときて涙が出たほどでした。物語をおぼえるほどに咀嚼し自分のものにして語るとき、その人の生きてきたすべてが声に雰囲気に出てくるのでしょう。ミヨさんは、詳しくは語られませんでしたが13歳の時にご両親をなくしたのだとか。お母さんといえば、毎朝忙しく食事の支度をしているところへミヨさんが起きていくと、チンチンと火鉢で湯気をたてているヤカンにタオルをぱっとかけて熱くし、ミヨさんの寝癖をなおしてくれたことを思い出すのだそうです。なつかしいお母さんの姿に、私もなつかしさをおぼえました。