浅き川も深く渡れ

春からはじまる、授業に向けて少しずつ、そちらの集中力も高めていく時期になりました。この授業の担当も、2005年からですから、5年目。たぶん、年数からいって非常勤講師としてここで担当するのも最後かもしれません。なので特別な気持ちで臨みたいと思います。それに、私の青春の一時、想いをかけた?(でも今の私からすれば、何とまぁいい加減であったかと反省もされるのですが)学問ですから、それとつながっていることの幸せをかみしめつついきましょう。

先日、ネットで星野道夫さんの番組「ALASKA星のような物語」を見て、印象に残った言葉がいくつかありました。

「人間にとって、きっと、二つの大切な自然があるのだろう。一つは、日々の暮らしの中で関わる、身近な自然である。そしてもう一つは、日々の暮らしと関わらない、はるか遠い自然である。が、そこにあると思えるだけで、心が豊かになる自然である。それは生きていく上で、一つの力になるような気がするのだ。」

もしかしたら、物理学という学問も、日々の暮らしとは関わらない、はるか遠い自然とつながっているのかもしれない、と思いました。何故、私はこの学問がしたかったのか、今問い直してみると、日々の身近なことではなく、はるか昔に想像もつかないような広大な宇宙空間で起こったことや、どこまでも小さい世界のことを考えることが、いつも些細なことで頭を悩ませている自分に違う心のありかたをもたらしてくれる、そんな予感があったからだろうと思うのです。そういう場所に立ち戻ろう、と思います。

「厳しい冬の中に、あるものは美しさを見る。暗さではなく、光を見ようとする。それは希望と言ってもよいだろう。だからこそ、人はまた、冬を越してしまうのかもしれない。厳しい季節の中で、ひたむきに生きているこの土地の生き物たちの姿が、僕は好きだ。きっと、同じ春が、すべてのものに同じ喜びを与えることはないのだろう。何故なら、喜びの大きさとは、それぞれが越した冬にかかっているからだ。冬をしっかり越さない限り、春をしっかり感じることはできないからだ。それは、幸福と不幸のあり方にどこか似ている。人はいつも、それぞれの光を探し求める長い旅の途上なのだ。」

番組はこちらで見られます。
http://jp.youtube.com/watch?v=b4Y7i8XBmcg&feature=related
http://jp.youtube.com/watch?v=Z5Fr_Dt2ssE&NR=1
http://jp.youtube.com/watch?v=VFOGhgezFHU&NR=1
http://jp.youtube.com/watch?v=CImu4v71KV8&feature=related
http://jp.youtube.com/watch?v=7luHql0UsT4&feature=related
http://jp.youtube.com/watch?v=wCpsJcQHPak&feature=related