フィンランドの教育力

1月の2冊目に読んだのはコレ。これも夫が昨年買った本。

フィンランドの教育力―なぜ、PISAで学力世界一になったのか (学研新書)

フィンランドの教育力―なぜ、PISAで学力世界一になったのか (学研新書)

現在ご主人の転勤で東京に住んでいる著者、リッカ・パッカラさんが、フィンランドでの10年間の教師生活をふりかえりつつ、フィンランドの風土や国民性にもふれながら、その教育システムについて語ったものをまとめた本です。彼女は1969年生まれで、10歳の男の子と6歳の女の子の母親でもあります。くしくも、今年は先の勝間和代さんといい、私と年齢がそう変わらない女性の書いたものをたて続けに読むことになりました。もしかしてもっとがんばれという夫の秘かな洗脳作戦でしょうか??

前半で素晴らしいと思ったのは、1994年に29歳の若さで教育大臣になったヘイネンが
「経済不況の中での限られた予算を投資するなら、いちばん有効なのは子供たちへの教育だ」
と、訴えて教育改革を進めたこと。そして教師になる資格を大学卒業から大学院での修士号の取得へ引き上げ、教師の裁量権を認めたこと。。ここで比較をしたくはありませんが、今国会で経済対策に定額給付金をばらまくかどうかを何時間も何の建設的進展もなくやりあっている人たちには、もっとしっかりしてほしいと思います。また、フィンランドでは大学院まで教育はすべて無料で受けられるのです。失業しても、学校へ入り直し勉強すれば資格をとってよりよい職業につくことが可能。。

後半では、クラスの運営にかかわること、クラス内にADHDの子供がいたときの対応、いじめや保護者への対応などが取り上げられ、私にとっても身近な問題でした。驚いたのは、私が学童で子供達と関わって感じて来た事と、彼女がフィンランドで感じて来たことは、ほとんど同じで変わりがなかったということでした。子供も大人も中にいる人は違わないという実感を持ちました。ただ、教師に裁量権があるかどうか、社会の中でリスペクトされているかどうか、個々の子供にフィットした教育ができるかどうか、などほんのちょっとの違いがあるだけ。。それは日本で今すぐにでも十分できるという実感を持ちました。

そして、最後に彼女自身の子育てについても書いてあって、私が自分のことじゃないかと思ったところがありました。「家で子供に勉強を教えるのはあまりおすすめしません。。親子関係に悪影響を及ぼしますから。。」今息子さんにフィンランド語を教えられる人は彼女以外にいないので仕方ないらしいのですが「もうママは僕のママなんかじゃない、大嫌いだ」「ママはこれまでの僕の先生のなかで、最低だ」と言われつつ教えているそうで、同じだなぁと思いました。ただ、娘さんは彼女に教わるのが好きということで、これも子供の個性によって違うのでしょう。私も、息子の勉強をみるとケンアクムードになってしまいます。チェックはしなくてはなりませんが、適当な距離で見ないほうがむしろスムーズ。悩みの種でもあったのですが、最近あぁこういう師弟的関わり方では私と息子は全く相性がよくないのだと割り切るようにもなっていて、それが裏付けされたように感じました。