嘆異抄

探した時には見つからなかった「嘆異抄」。でも「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」を探していたら、見つかりました。

親鸞 唯円 嘆異抄 校注・現代語訳 梅原猛 講談社文庫

親鸞の死後三十数年、教えをめぐって教団の中に異義がおこり本来のものがまげられていくのを嘆いた弟子唯円が、「異(親鸞の教えと異なる)を嘆く」という意味で、自分が耳にした師親鸞の言葉を書いたもの。親鸞の信仰に揺り動かされた唯円が書いたこの書、梅原猛の解説も熱をおびていて、その振動は読み手の奥底を揺さぶります。夫の蔵書ですが、血の通った素晴らしい解説本だと思います。この嘆異抄の核心の一つは、信仰が持つパラドックスだと梅原は言います。

「善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや」

okanagonにはこの言葉と同じ響きを持つと感じた言葉があります。いつだったかNHKラジオのWeekend Sunshineに、路上生活をしている老人が繰り返し繰り返し口ずさんでいた賛美歌を録音して曲にしたものが流れたのです。衝撃でした。自分が現実には救いがたい、その悲しさやみじめさを痛感するとき、どこかから「それでも」という声がする。自分が生かされている実相が目の前に突如立ち上がってくる。何と言うパラドックスかと思います。。


Jesus' blood never failed me yet
never failed me yet
Jesus' blood never failed me yet
There's one thing I know
for he loves me so

何と言う便利な世の中でしょう。YouTubeにありました。
http://jp.youtube.com/watch?v=dnYA0w4cWiE&feature=related