ミドル•パッセージ〜生きる意味の再発見〜

私は単純なので読んでいる本にかなり影響されます。「19号室へ」はその意味で私にとって危険な本だったのですが、もう一冊の本を平行して読んでいたために、作品を相対的にとらえることができました。その本とは、

ミドル・パッセージ―生きる意味の再発見

ミドル・パッセージ―生きる意味の再発見

これを読むとスーザンの陥ったのは、ミッド•ライフ•クライシスそのものとわかります。私にとっては難解なユング心理学を違う角度から見ることのできるようになった本でした。

スーザンがたどった道を、この本から学んだ心理学的な考察へあてはめながら読んでもみました。彼女の見た悪魔は、その時点の彼女には悪魔とうつりましたが、それは彼女の奥深くにある生きられなかった本来の自分、社会や家庭の要求に応えるために押し殺されてきた本来の自分だったのです。もし、彼女が19号室へ逃げずに、その悪魔と静かに話しあっていれば、それは豊かさをもたらす恵みの天使となって、人生が再び彼女のところへ輝きだしてもどってきたかもしれません。それは違う価値観、違うパターンの行動をもたらし、周りすべての同じ状況がまるで違ったように見えるようになっていたかも。。でも、それと作品の価値とは別です。人間の心の深部をつきつめようとする作家の姿勢には、どれだけの心的エネルギーがいることでしょう。。と思わずにいられません。

作品世界ではなく、現実に生きる私は、暗闇に盲目でもなく、暗闇を見て呑み込まれるのでもなく、第3の道をとらなければならない、と感じます。ミドル•パッセージについて詳しく書かれたこの本は、意識の表面にある小さな自我ではなく、より深い大きな存在意義とつながりながら生きて行くために、人は一度象徴的に死んで生まれ変わらなければならないことを教えています。その産みの苦しみが起こるのが、ちょうど一日でいうと正午、ミッド•ライフ。。私もその時期にあります。。心して行きましょう。。