天の瞳

天の瞳 灰谷健次郎

何年か前に、この本を読みましたが、息子が入学式を終えてふと思いだしました。私は面白かったらすぐ人に貸したくなるので、この本も同じく男の子二人の子育てをしているお母さんに貸して今開くことはできませんが、倫太郎という男の子の成長を描いた小説です。幼年編、少年編、成長編のあたりまで読んで、あすなろ編はまだ読んでいなかったでしょうか。。保育士さんたちを手こずらせ、とにかくこうと思ったらやり通し、年上を泣かすほどのわんぱく坊主。もし、倫太郎が自分の子だったら、そして彼の中にある輝くようなエネルギーと感性に気づかなかったら、とても自分の懐では受けきれず、表面的なことで悩み叱りつづけていってしまうんじゃないかと思います。。しかし倫太郎のお母さんは、どこか違う視点をもち、広々とかまえていて、でも芯のところはしっかりと子供をつかんでいてとても気持ちよい。。と思った記憶があります。

なぜ、今思い出したんだろう?と考えてみるとこの倫太郎が小学校にあがるところが一つのドラマだったと気づきました。確か女の年配のベテラン教師が担任になったと記憶しています。ひらがなも何一つ事前にやっていない倫太郎。。その先生と倫太郎は対決をしていくのです。先生の目には問題児としか映らない倫太郎ですが。。灰谷健次郎がこの物語を通して学校教育に疑問を投げかけているのを感じる箇所でした。しかしそれを救うようにストーリーにはもう一つの流れがあって、倫太郎は親友と一緒にあんちゃんという青年から少林寺拳法を習っているのです。そこで心身を鍛えながら、少年たちは「己こそ己のよるべ」ということを教えられそれぞれに自分を確立してこうとするのです。

息子もいよいよ一年生。倫太郎ほど強くもなく、ひらがなもだいたいは書けますが、この前学童で二年生に「おまえなまいきだぞ。」と殴られてぽろっと涙をこぼしたそう。「先生に言うのは好きじゃないから言わなかったけれど、他の子が見て言っちゃったんだ。」と。これを聞いてこれからも無傷で過ごすことはないと思いました。。その二年生、どの子かすぐわかりました。顔色の悪い、色んな子とトラブルになっていそうな子で目立っていたのです。。お家でどんな様子なのか、同級生にも相手にされずストレスを下級生へぶつけないとやっていけない、なにか抱えていそうな感じでした。こういう場合は心配しなくて大丈夫。。なぜなら明らかに目につき、周囲もその子には味方していない様子だからです。逆にそういう子のほうこそケアが必要なのです。ちょっと話がそれてしまいましたが、息子もベテランの女の先生が担任です。学校第一日目にして、「ちっとも遊べないから学校はいやだ。昼休みもなかった。」と。。たった2時間半しか居なくてこれでは、これから苦労しそうですが、どのように息子が自分を確立していくのか、見守りたいと思います。